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「いろは2010」の曲が済んだところで、さらに永田社中曲集をつづけていきます。

2008年にトロント市、ライヤーソン大学シアターで盛大に行なわれました永田社中10周年のイベント。

その名も、直球:

NAGATA SHACHU 10TH ANNIVERSARY CONCERT

DVD-cover.jpg


その翌年、2009年にライブバージョンのDVDが発売されました。
詳しくはこちらから:
http://nagatashachu.com/Taiko_Store/recordings.html

そこに収録されているてんてん作品をご紹介します。

まず5曲目、「喝々山」。

カッカザンと読んでください。
漢字に意味はありません。
ただ、カッカという響きに注目。
そしてサン、山でも太陽でもなく、数字の3。

で、カッカッとなる3つのもの:
三味線の3弦、締太鼓の3人、そして鳴り物3つで構成されております。

もともとは、三味線と3つの太鼓のみでしたが、思い切って後半から3パートを増やしてみました。
鳴り物隊は、大鼓(おおかわ)と小鼓(つづみ)、そして拍子木。

こちら、2005年作った当初の写真。
オリジナルメンバーは永田氏ハイディ、キョーコちゃん、そして三味線はてんてん。

Kakkazan1.jpg

この後、翌々年の2006年に社中CD「綴~TSUZURE」の中でまた新たなバージョンとなって収録されることになります。
そのときのレコーディングでのメンバーは、永田氏、スコット、そしてわたし。
アルバムでは、男性二人の「ほー」とか「いよー」の声が魅力です。

で、いよいよ2008年。
最新版の「喝々山」完成。
編成は7人。

Kakkazan2.jpg
2008年 ライヤーソン大学での7人制カッカザン(変わらないのは永田氏のみ)

下座風の三味線がベンベンと景気良くかき鳴らされる中、三人の太鼓組が旋律にしっかりと色をつけてくれます。和太鼓ではなくて、小さいお囃子太鼓。
もちろん全員正座です。

なんといってもあざやかな音色と手の動きが大事。

ちょっとでも息がずれると、チームワークがたがたになってしまうので要注意。
最後まで気を緩めることすらできません。
手はおもむろに伸び上がります(必要以上に)。
でも皮面を打つ時はごくやさしく、とんっと落ちる感じ。
パワーで押せないのが、つらい。

中間部でもっと歌舞伎長唄三味線調となります。

そこから鼓や拍子木の「ポン」「チャッ」「ツタッ」という擬音が加わります。

これらの古典楽器の音はとても微妙に斬新です。

間が空けば空くほど、その音色が生きてくる気がします。
出来るだけ使いすぎないように、混雑しないように気を配りながら配置いたしました。
鳴り物はリズムパートでも、グルーヴセクションでもなく、それぞれ独立して旋律に重みを落としていきます。

3つの太鼓も同様、けっして繰り返しのパターンにとらわれず、あくまで3つで一つ。
3人で一人。

これ、基本です。


わたしなりには、どのバージョンも良く練って絞ったもんだと感心しているのですが・・・
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錦という言葉から、たとえがたい美しい光景、あざやかな色彩が目に浮かびます。 
 
nishiki.jpg


「いろは」プログラムには載らなかった、アンコールの演目が「錦」という曲です。

永田社中の太鼓交響曲。
いくつかのムーブメントから構成されております。


第一楽章 閃光

締太鼓はニックシャオ。
彼の色は深いブルー。

彼に呼び出され、そこしずつ光の筋が見えてきます。
それは微かな光の瞬きのようですが、たしかな色として目の裏に焼きつきます。

そして、今まさに紺碧の空の閃光が輝きはじめまるところです。

iroha-nishiki1.jpg

LAINIE

第二楽章 松竹梅

一.「枝垂れ大松」

リーダー永田キヨシのソロ。
偉大なる紫。

大きく垂れ下がる崇高な松の大木のように、二尺の太鼓が堂々と打ち鳴らされます。

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YOSH INOUYE

二.「若竹」

スコットとアツシくんの若さ(?)あふれる元気なデュオ。
イメージカラーはもちろん竹の青と黄緑。

天高く伸び上がるように、ふたつの桶太鼓が弾けます。

wakatake.jpg


三.「紅梅」

社中ガールズ、息の合ったかしましトリオ。
アンジェラが優しいオレンジ、アケミちゃんは明るい赤、そしてわたしはおしゃまな黄色。

この三色混ぜましたら、この世でもっとも美しいチェリーカラーに仕上がる、いや、そのはずなのです。

音楽重視の永田社中用太鼓曲にしては珍しく、これでもかと動きを入れたガーリー(少女的)な小ピース。

まるで三つの梅の花が風に揺れ、くるくまわり、語ったり合ったりしているようなのです。
それで、ほんのり懐かしい梅の香までしてくるわけなのです。
なんだかそれだけで幸せな気分になるんです。

koubai.jpg


第三楽章 牡丹

わたしの中では、もっとも豪華であでやかな花、牡丹(ぼたん)をイメージして書きました。

この大輪の花を描くように、わたしたち六人がぐるぐる円になって打ち合います。
テンポが変わり、伴奏も断続的なストレートからウキマ(はね)へ。
4拍子から3拍子へ。
いわゆる、波から動への展開。

とにかく飛んだり跳ねたり、いそがしい曲なのです。

ひとときも休まず、次の太鼓へと移動をくりかえします。
息もあがります。
隣同士のバチがぶつかります。
練習中はおたがいの身体が衝突することも幾度かありました。
でもお愛嬌、です。

12nishiki3.jpg
 

第四楽章 花火

終結部分、また主題へと戻ります。

今度は社中お得意のカップシェイプ。

どんどんとヒートアップしていきます。
あっちこっちにスパークが飛び散ります。
打ち手だってかなり熱くなっていくのです。

錦をうまく織り上げるには全員の体温と気迫が必要です。
それにメンバーの色合いや気風が加わって、パターンの面白さが増すわけです。

最後の永田氏の掛け声、「いくぞー」のあたりがこの場面。
そろそろフィニッシュ、というところ。

senkou.jpg



というわけで、この「いろは」公演の最後にふさわしい、錦絵巻ような豪華絢爛な作品になりました。

付け加えておきますが、コスチューム(永田社中カラーTシャツ)で色を表現しているわけではありません。もちろん、それにかなり助けられているわけですが。
シャツの色と照明設定は、あくまでイメージ。
ということにしておいてください。


その前段階、錦の音を作っていくなかで、メンバーひとりひとりの色をイメージしてみました。

個性、体力、技術や表現力。
いろんなことに注目して、その人が一番かがやいて見える色と音を探し出していくわけです。もちろん、ほんの少し期待とこじつけはあったにせよ。間違ってたら、すいません。


自分で作っておいてなんですが、いやはや、とにかく動きが多い曲です。
老体にはこたえます・・・

子供っぽい、というか熱血太鼓団っぽい、というこの曲に、今とても愛着を感じています。


とにかく、この「いろは」の夜、とても楽しい気分になることができました。
ご来場のみなさま、どうもありがとうございました。


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YOSH INOUYE


「漆黒」と呼ばれる漆の黒は、底知れない闇のような、最も美しく重厚な黒です

shikkoku.jpg

古来からわたしたちは、漆には特別な力があると信じてきました。

さわるとかぶれる漆には、邪悪なもの寄せ付けない不思議な力があると考えたのです。
透明な漆を重ねることで、深く沈んだ黒が現れます。

この黒は無限の未知の世界をもたらしてくれるような気がします。

見えない闇、聞こえない音。
それは何もないことでなく、そこに確かにある存在を感じるのです。


今回の永田社中「いろは」の舞台は、朝焼けの空の色からはじまって深い闇の色でおわります。
前曲の白と対比させ、さらに暗く、深い黒を引き出してみました。
 
 
とてつもなく低く重い太鼓の音色を丁寧に、塗りこめるように何層にも重ねます。
それは漆のように粘り、光沢を帯び、さらに厚みを増していきます。
 
何度も言いますが、漆黒の黒は無彩色ではありません。
すべての色が塗り重なっているのです。
いくつもの色味や模様を、目で、耳で、そして体全体で感じ取れるまでわたしたちは叩き続けたいと願っています。

「いろは」最後の曲「漆黒」には永田社中の精魂のすべてが注ぎ込まれます。
 
11shikkoku5.jpg
YOSHI INOUYE
日本語の「白」の語源は、空が「白む」からきています。
もっとも純粋で、神々しい色です。

shirogane.jpg
写真提供;http://kabegamimura.net/
 

すべての色光をはね返してしまい、物事のカタチをありのままにしるす色、それが白です。
この白を少ない音でつくってみることにしました。
 
単純一貫の銅鑼
透きとおる鈴
潔よい三味線の糸
冷たい鉄琴の光
硬い笛の響きと神聖な太鼓の音

 
重ね彩ることよりも、削って剥いでいくことのほうが何倍も難しいのです。
 
よけいに鳴らさない。
打ちたくても打たない。
ただ、待つ。
そうやって音と真剣に向き合うことで、肝心な何かを見きわめていきたいと思っています。
10shirogane2.jpg
YOSH INOUYE
鳶はほとんど羽ばたかずに空を自由に飛び回ります。

そこから、高い所で作業する大工や職人のことを今でもこう呼ぶわけです。
 
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鳶の男達はここ一番という時にかならず木遣り唄を唄います。
 
もともとは木を遣り渡す(動かす、運ぶ)という作業においての仕事唄でした。現在でも結婚式や棟上、祭事においての祝い唄として各地でうたい継がれてきています。男気と粋を兼ね合わせたこの威勢のいい唄で、みずからに気合を入れるわけです。
 
永田社中の威勢のいい輩がうたう、木遣りのうたを作ってみました。

ヤーレー 
風は東風(ならい)で ヨーイトナ

 ~ソラ ヤットコセー ヨーイヤナ~

ハー 雲の切れ間に 一群れの
トンビ啼くとは ヨーイトナ

 ~ハー ヨーイ ヨーイトセ ヨーイトセ コリャ ヨーイトナー~


音頭取りは、社中一ののど自慢:草野スコット幸吉
頭(かしら)はもちろん、太鼓の達人:永田ゲリー清
若い衆一番乗り、うちのアイドル:加藤アツシ
そして二番手、かっとび野郎は、お馴染み:ニックシャオ
 
唄の後は、威勢のいい男衆が太鼓という寄木を担いであばれまわる、というわけです。

9tonbi4.jpg
 
着ているハッピは、永田社中の旧コスチューム。

最初は鮮やかな藍色だったのですが、一年、二年と経つうちに見事に褪せ、りっぱなブルーグレーに変わっています。それもまた、いい味がでているのです。
白抜きの角繋ぎが、いかにもトビ職人の男気をあらわしているではありませんか。

担ぎ桶太鼓をかかえた男衆四人は、ところ狭しとステージの上を駆けまわります。

9tonbi2.jpg
YOSH INOUYE
次から次へと蕾が吹き、夏から秋にかけて百日にもわたって花を咲かせる百日紅。
夏空によく映えます。
 
sarusuberi.jpg

さるすべり、と読むのだそうです。
百日紅は散っても散ってもまだ咲きます。
まるで散るほどに、勢いを増してどんどん咲き誇るかのようです。
このにぎやかな花のお祭りは夏から秋にかけて百日間も続きます。

もりもり咲く花、
あざやかな花弁、
真夏の蒼い空。

それは、じつに「あはれ」なのです。

これをぜひ「いろは」のステージの一曲に加えようと、この夏のあいだ毎日奮闘いたしました。

それはそれは、またさらなる「あはれ」、だったわけです。

三人娘で試行錯誤を重ね、血のにじむような(?)努力の結果、新曲が出来上がりました。
この「サルスベリ」、どんな感じ(漢字)かと申しますと・・・

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「猿滑り」
この漢字がまさにぴったり。

「百日紅」という語源は中国から。
「さるすべり」という読み方は、日本生まれ。

この木の特徴;つるつる滑る幹から名前の由来。
つけ方が安直です。直球ストレート。
漢字と読み方がこれほどまでにアンバランスで、しかもなんとなくなじんでいるというこの日本語の曖昧さに感動さえ覚えます。


とにかく、わたちたち三人、いや、三匹の美しく咲き誇った姿をみてやってくださいませ。
 
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YOSH INOUYE
緑のバッタは草原に潜んでいます。
目線を低くしてよく見てみると、たくさんの飛び跳ねるバッタがいます。

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チャッパという楽器は打楽器のひとつで、古くは仏教儀式での鳴り物として使われていました。
 
音色はいくつもあります。
いろんな音を工夫して造りだそうとするとき、必然的に体全体が踊りだすのです。
腕が伸び、足が跳ね、自由自在に緑のなかをを駆けまわる様子は、バッタのように思えるのです。

 7batta3.jpg
YOSH INOUYE

どこまでも広がる大海。絶え間なくつづく波。静かに、そして時には荒れ狂う海のその表情から、 古代より数多くのさまざまな文様が作り出されてきました。波のうねりを表す半円が重なり合って扇形に連なる模様。穏やかな海の様子として描かれるこの青海波の文様に、昔の人々は幾つもの吉祥の意味を重ねあわせました


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 写真提供;http://kabegamimura.net/
 
ほんの小さな水面の波紋がどこまでもどこまでも続いていく様子を曲にしました。
                                                                       
打つということよりも、体を流れる水のように緩ませます。寄せては引いていく潮の流れに身を任せてみるのです。沖から押し寄せる強い波が打ち寄せるしぶきの轟音とともに太鼓へと突き動かされます。
そこに、ひとつの模様が大海に立ち現れるのです。
 
去年のコンサートで演じた作品「青海からもうひとつ発展させ、今年は上下二段になってさらに大きな波をつくりあげます。


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山吹は、晩春に深い黄色の花を咲かせます。
七重にも八重にもなり、あたり一面が山吹一色になるまで見事に咲き続けます。

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写真提供;http://kabegamimura.net/
 
篠笛、尺八と呼ばれる日本の吹奏楽器は、ただ単純に一本の竹で出来ています。
そのわずかな竹の切れ端がなんとも美しく鳴るのです。
 
わたしたちの持っているのども鳴り物です。
だた言葉を使って意味をもたせることが出来るというだけで、笛や太鼓となんら変わりはありません。
 
どんな楽器であれ、うまく奏でるようになるまでやはりそれなりの苦労が要ります。
鍛錬することによって、音になり旋律になり、自分のウタとなるわけです。
 
唄うように語りかける笛と、鳴るように響き渡る声によって、山吹のような鮮やかでおおらかな自然の声が湧きあがります。


里に山吹
山には緑
空に白雲
水に影


5yamabuki2.jpg
常盤樹の葉の深緑色。
英語でもever green。一年中、葉の緑色が変わらないところから「永久に変わらない」という代名詞にもなっています。
 

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写真提供;http://kabegamimura.net/ 
打つ、躍ぶ、跳ねるという体全体の動作が基本の和太鼓という表現のなかで、静止するということが如何に難しいかを思い知らされるのがこの座り締太鼓打ちです。
 
それは、座禅の修行に似ています。
 
坐るという身体の拘束によって体と呼吸が整えられ、心が鍛えられます。締太鼓を打つときも、心を一つにして、物事にとらわれず、ひたすらあるがままに打ち込むのみです。太鼓と正面から向かい合い、ただ無心に「無の音」を追求しなければなりません。
小手先の技巧や装飾などは無用です。欲求や自我をなくし、太鼓と一体になるまでひたすら叩き続けます。そうすることによって自分の心も、そして太鼓の音も澄んでくるのです。
 

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YOSH INOUYE
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まずまずてんてん
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自己紹介:
日本生まれ
カナダ大陸東南あたりに生息
比較的温暖な緑地を好む
雑食型(主に草食、ときどき肉)
群れない
種子を残さない
でもそれなりに依存型

「三味や太鼓で大騒ぎ」が得意
ひにひにてんてん
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